読書が苦手な読書家の読書感想文(書評ブログ)

勝負論 梅原大吾

どの業界にも通用する考え


日本初のプロゲーマー梅原大吾氏の二作目の著書。


格闘ゲームをプレイする方にとって、
梅原大吾と言えば、知らない人はいないほど有名な方。


ひとつ取るだけでも困難なギネス記録を

・世界でもっとも長く賞金を稼いでいるプロゲーマー
・ウルトラストリートファイターⅣでの最高ランキング
・最も視聴されたビデオゲームの試合

と、3つも保持している、とんでもなく凄いプレイヤーです。



前作の「勝ち続ける意志力」という著書は、
私のこのブログでも取り上げさせて頂きました。

過去記事:勝ち続ける意志力


本作は、梅原氏が常に最前線で活躍し続けられる理由、
単発の「勝ち」ではなく、「勝ち続ける」ことをテーマにした書籍です。





書籍紹介16冊目です。


個人的おすすめ度   ★★★★★
文章の読みやすさ   ★★★★☆
内容の理解し易さ   ★★★☆☆
再現性        ★★☆☆☆




どんな本なのか



著者の梅原氏は、格闘プロゲーマーという職に就いている方で、
プロゲーマーとは言わば勝負の世界の住人。


勝者がいて敗者がいるという、白黒ハッキリとした世界です。
その世界に身を置きながらも、ずっと一線で活躍し続けてらっしゃいます。



何故そんなことが可能なのでしょうか?

それは、梅原氏が「勝ち続けている」ことに他なりません。
単発の「勝ち」ではなく、「勝ち続けている」というところがポイントです。


調べればすぐに分かることなので、先に断っておきますが、
梅原氏は決して「無敗の王者」ではありません。


大会の参加者が1000人いれば、999人は負けるという、
負ける人の数の方が圧倒的に多い世界なのです。


しかし、梅原氏は勝ち続けています。

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本書はその秘密に迫ると共に、全てのビジネスシーン、
その他、あなたが身を置いている世界に通じる
「勝ち続けていく為の思考方法」が記されています。

※この場合の「勝ち」は単純な勝負ごとにおいての勝ち負けではありません。


この本の目的は、勝ち続ける方法、
勝ち続ける自分の作り方を考えていくことです。
もちろん格闘ゲームにおいてではなく、できるだけ一般的な話として置き換えます。
中略
勝ち続ける、というのは、つまり成長し続けているということです。

「はじめに」より





本書は、ゲーム好きな読者に向けて書かれたものではなく、
ゲームを全くやらない方にも、わかりやすく読めるようになっており、
具体的なゲームの話題は、かなり少ないです。




梅原氏も、
この本は、なるべくゲームや麻雀などの例を用いず、
できるだけ一般の読者が応用できるようなスタイルで、
僕の考えてきた思いを普遍的に述べてみようと思っています。

と仰っておられます。





確かに、ゲームや麻雀の話が全くないという訳ではありませんが、
全体の1%以下と言っていいと思います。

※梅原氏は麻雀のプロを目指していたことがある。




その為、書かれている内容の「抽象度」が高くなっています。


抽象度が高いとは、
例えば、ある業界では至極当たり前の事柄を、
その業界のことを全く知らない人にも理解してもらう為に、
その人でも分かる例えを持ち出しているようなイメージです。


「ひとつ上の階層の概念に引き上げて話をする」と言うと、
余計にわからないかも知れませんが、図で表そうとするとそんな感じになります。

※概念を一つ上に上げていくイメージ
「ポメラニアン→犬→哺乳類→動物」




抽象度が高いと、より多くの人に理解してもらい易い反面、
スパっとドンピシャな説明ができにくいため、
どうしてもぼんやりとした文脈になりがちです。


※もちろんこれは、梅原氏の文才どうのこうのという話ではなく、
 誰が何を書いたとしても、抽象度を上げるとなってしまう現象です。


なので、自分の世界に当てはめて読むことが、
本書をより深く理解するための読書方法です。




頑張ることの価値など、誰も教えてくれない


本書は、人によっては辛辣と感じるものの、
本質を射貫いている言葉を投げかけてきます。

上記の「頑張ることの価値など~」という言葉もそうですね。


学生時代は、先生や親が課題を課してくれたり、
「時間」や「やるべきこと」を管理してくれていたりと、
なにかと手を差し伸べてくれていましたが。


一度世間に出てしまえば、全て自分で見つけ、切り開いていかなければなりません。


その為、「これでいいのかな?」と不安になっても、
基本的には誰も「それで正解だよ」なんて優しい言葉はかけてくれません。



何を学べばいいのか、どこまで成長すればいいのかを教えてくれる人などいないし、
どの段階まで達すれば次にいけばいいのかも、自分で考えるよりほかない。
中略
でも、どうかそれを辛いとか、寂しいとか思わないで欲しい。
何をどう頑張るかを考えるのは、本当は楽しい。
中略
方法も自由だ、間違おうと回り道しようと、一切構わないのだ。

第1章 なぜ勝ち続けることが大切なのか より



カイジというマンガに登場する利根川幸雄のこのセリフを彷彿とさせます。


おまえらの甘え、その最たるは今口々にがなりたてたその質問だ
質問すれば、答えが返ってくるのが当たり前か?
とんでもない誤解だ、世間というものはとどのつまり、
肝心なことは何一つ答えたりしない

カイジより




格闘ゲームにおいて、17歳で世界一になっている梅原さん。

その時点においては、世界で一番強いのは梅原さんということになるので、
格闘ゲームを教わろうにも、教えてくれる人がいないのです。

その状況において、さらに実力を伸ばすとしたら、
全て自分で思考するしか他に方法がありません。


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考えてみると、この状況はものすごく特異な状況です。
自分が世界で一番上で、自分より上はいないというこの状況は、
恐らく、とても孤独です。


極端に思えるかも知れませんが、自分意外の全ての人が、
自分を狙っており、当の本人は頼れる人が自分しかいないのです。


この状況下においても、今現在もトッププレイヤーでいられる梅原氏は、
格闘ゲームの才能というより、
「成長することの天才」「努力する天才」と言えるかもしれません。



個性を無理に引き出そうとしても


人は時に、人と違うものを求め、人と違うことを望みます。
これは若い時ほど顕著かも知れません。


「人と同じものは欲しくない」
私にも覚えがあります(笑)


個性的でありたいと思うのは、悪いことではありませんし、
そう思うことが成長する努力へのモチベーションとなることも多いです。


しかし、熟練度が低い時から、個性を意識的に出そうとすると、
成長が遅くなってしまうことがある、と梅原氏は言います。


僕の見てきた経験からは、早いうちから個性を出したがる人ほど、
成長が遅くなってしまう傾向があるように思う。
中略
個性を発揮できるのは、あくまでレベルの高い、広い世界に出た後の話だ。
それまでは、自分自身でぶれない基礎をつかみ取る、地味な作業を頑張る必要がある。
また、結局はそうした基礎があって初めて個性が出る。

第4章 勝ち続ける知識と思考 より



若い内に、自分の力でこれに気づくのは至難の業かも知れません。
若くして気が付いた梅原氏には、流石としか形容しようがありません。


たかがゲームされどゲーム、しかしそこは紛れもない勝負の世界。
そこを10代から突き詰めてきたからこそ、見えた境地ともいえると思いますが、

何歳であれ、このことに気が付いたのならば、
それはその人の「成長」であり、前進です。

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第5章がオススメ



最後に、本書を読むにあたってのオススメポイントを紹介させてください。

全5章からなる本書ですが、第5章の「勝ち続けるメンタルの構築法」は、
ずばっとまるごとオススメです。

「大舞台で緊張しない方法」
「外からの評価をどう扱うか」
「感情をコントロールする必要性を理解する」


など、社会に出て生きていく時に役に、
立つことがたくさん書かれています。


もう自分の生き方が定まっているという方でも、
何かしら得るものがあると思います。





個人的おすすめ度   ★★★★★

人生に少しでもストレスを感じているならば、
一度お読みになれば、開ける道があると思います。


文章の読みやすさ   ★★★★☆

決して難しい内容ではありませんし、
文章も柔らかく、スラスラとは読めると思います。


内容の理解し易さ   ★★★☆☆

先に挙げたように、抽象度が高いので、
自分の世界に当てはめて読むことが効果的です。



再現性        ★★☆☆☆

多くの人がそうであるように、
継続させることは難しいです。



2017.12.27 | コメント(0)このブログの読者になる更新情報をチェックする
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