「この人の手を離さない。僕の魂ごと、離してしまう気がするから」
同名ゲームの小説版
今回ご紹介させて頂くのは、
宮部みゆきさんのオリジナル原案ではなく、
同名ゲーム「ICO」を小説化した作品です。
書籍紹介9冊目です。
文庫版
内容紹介
とある村には、数十年にひとり、角の生えた子が生まれる。
角は生贄の印。
角の生えた13歳の少年は、しきたりによって、「霧の城」へと生贄に捧げられる。
そして霧の城の中で出逢った、大きな鳥かごの中に幽閉されていた謎の少女。
なぜ角が生え、また角が生えた子は生贄にならねばならないのか。
この少女は何者なのか。
そして霧の城とは一体・・・。
謎解きな要素もある宝石のように綺麗なファンタジー作品です。
ICOというゲームは2001年にPS2で発売されたゲームで、
当時としては、珍しいスタイルのゲームだったと記憶しています。
(2011年にPS3でHDリマスター版が発売)
ゲーム画面には一切のパラメーターなどの表示がなく、
まるで映画を見ているような、とても雰囲気のあるゲームでした。
(例えば主人公の体力ゲージとか相手に与えるダメージとかが一切無表示)
私事ですが、この作品大好きなので、何回もプレイしました(*'▽')
作者の宮部みゆきさんは、ゲーム好きらしく、
ICOをプレイして感銘を受け、
執筆予定だった作品を取りやめてまで、
本作の執筆に入ったというほどの情熱のこもった作品です。
本作は、ゲーム版ICOと同じ背景・設定を持ちつつも、
小説版オリジナルの展開へと繋がっていく為、
ゲーム版をプレイしていなくても、全く問題ありません。
ゲームに興味がないという方でも、大丈夫です。
私も読ませて頂きましたが、
原作の雰囲気を壊すことなく、物語の奥深くまで描写されており、
ゲーム版ICOとは良い意味で別物です。
やはり何か他に原作があってのノベライズとなると、
どうしても「原作が良かった」という声が上がります。
もちろんこの小説版ICOも、
そういった声が全く無いわけではありませんが、
ICOが好きな超一流の作家さんが、雰囲気を壊さないように書き上げた作品ですので
そういった声は少数派のようです。
それに加えて、ゲームの製作者サイドは、
「ゲーム版ICOのファンが抱いている原作のイメージを大事にしてほしい」
という思いがあったようで、敢えて宮部さんに
原作の細かい設定などの情報は、教えないようにしたという経緯があるようです。
これにより、ゲーム原作者サイド公認での
宮部みゆきワールドが展開されることになったのです。
ICOが好きな私としては、
この小説をきっかけにゲームの方もプレイして頂けると嬉しいです。
素直に何度も読み返したくなるほど、
面白い作品となっております。
オススメです☆
文庫版
関連記事
- » 夢天幻想譚